謝罪のプライド
このまま終わりにしたほうが、初音のためになるのかもしれないなんて。
認めたくないけれど、一度思いついてしまった考えは消えない。
あの後、初音が連絡してこなければ、きっと自然消滅していただろう。
それでも、自分から別れを告げるほど思い切れていたわけでもなくて、あの時俺にはどう行動することも出来なかった。
だから今でも、あの男のことは侮れないと思っている。
俺の投げかけた質問を、初音は眉根を寄せたままじっと考えている。
「なんで今さらそんなこと聞くの」
「気になったからだよ」
もう結婚直前なのだから、過去の色々は精算したいと俺だって思っているのだ。
「うーん。……もしかしたら浩生と別れてたかもね」
「なんだと?」
「浩生が聞いたんじゃん! だって、あの時は本当に不安だったし。優しい人に言い寄られたらほだされるのフツーだもん」
「ちっ」
ムカつく。半端無くムカつく。
俺は何を期待していたんだ。
初音にきっぱり否定して欲しかったのか。
「どんだけ好きでも、相手からのアクションがなきゃ不安になるんだよ」
初音は憮然としたまま、俺にクッションをぶつけてくる。