謝罪のプライド
「だから不機嫌になる前にちゃんと私に優しくして」
「優しくって?」
「とりあえず、今は引越し荷物を一緒に整理して欲しい」
「……分かった」
仕方なく、起き上がって凝っている肩を回す。横になっていたからか、コキコキと小さな音が鳴った。
確かに動かないと体はなまるな。
「やった! じゃあ、この棚を組み立ててよ。終わったらこのダンボールの中のものを入れていって」
「ハイハイ」
なんとなく尻に敷かれそうな予感を抱えつつ、それもいいかと思う自分に不思議と心が温かい。
「初音」
「えー? もう何? ちゃんと頑張らないと終わらないよー!」
「これからはなんでも言えよ」
「……馬鹿なこと言ってるって笑わないなら」
「それは保証出来ないな」
「ひどっ」
ポンポン返ってくる彼女の反応に笑ってしまう。
「可愛いと思ってるから笑うんだ」
ポツリとそう告げ、ドライバーを取り出し棚の組み立てを始める。
視線を感じて振り向くと、初音が先ほどの体勢のままじっと俺を見ていた。