ねこにごはん【完】
*
「福松佳苗(ふくまつかなえ)ってキミだよねぇ?」
とある昼休み、花壇に散水をしていた私に声を掛けてきたのは、どういうわけかメロンパンを頬張る菊地原くんだった。
突然のことに動揺する私は、じょうろを傾けたまま「そうですけど……?」と不安げに返す。
もちろん話しかけられたのは今回が初めてだ。
いや私から話しかけたこともないから、会話すること自体が初めてということになる。
えーと、私に何か用なのかな?もしかして日頃ジロジロ見てることがバレちゃった?
それで文句言いに来たとかだったりして。どうしよう、心臓がうるさくなってきた。
これまで遠くから眺めているかせいぜい廊下ですれ違うことくらいしかできなかった彼が、すぐ傍にいることで込み上げてくる愛おしさと、心当たりのある不安が押し寄せてぐちゃぐちゃに混ざり合う。
そのうち焦燥感が勝って、こうなったら白状して素直に謝ろうと決意した私が口を開こうとしたまさにその時、
「手伝ってあげるよ~」
私のことを頭から足元まで、舐めるような視線で見ていた菊地原くんが先に発した言葉には面食らってしまった。
「福松佳苗(ふくまつかなえ)ってキミだよねぇ?」
とある昼休み、花壇に散水をしていた私に声を掛けてきたのは、どういうわけかメロンパンを頬張る菊地原くんだった。
突然のことに動揺する私は、じょうろを傾けたまま「そうですけど……?」と不安げに返す。
もちろん話しかけられたのは今回が初めてだ。
いや私から話しかけたこともないから、会話すること自体が初めてということになる。
えーと、私に何か用なのかな?もしかして日頃ジロジロ見てることがバレちゃった?
それで文句言いに来たとかだったりして。どうしよう、心臓がうるさくなってきた。
これまで遠くから眺めているかせいぜい廊下ですれ違うことくらいしかできなかった彼が、すぐ傍にいることで込み上げてくる愛おしさと、心当たりのある不安が押し寄せてぐちゃぐちゃに混ざり合う。
そのうち焦燥感が勝って、こうなったら白状して素直に謝ろうと決意した私が口を開こうとしたまさにその時、
「手伝ってあげるよ~」
私のことを頭から足元まで、舐めるような視線で見ていた菊地原くんが先に発した言葉には面食らってしまった。