真夜中の魔法使い
「どうしてお兄ちゃんだけ?」
もしお父さんがいたとして、自分はそんな状況での訓練についていけるだろうか。
まだまだ今のままでは力が足りないのだ。
最近そのことを思い知らされてばかりな気がする。
「ミユウは小さかったし。
それに、俺がいれば守れるでしょう?」
「お兄ちゃん・・・」
当然のようにさらりと放たれた言葉が胸を打つ。
「心配しなくても、ミユウはゆっくり成長していけばいいんだよ。
この家で、俺が一緒なら何も危ないことはない。怖い思いもさせない。」
甘やかせるようにそういった兄はもう十分に立派な大人に見えた。
世間の大学生のことは知らないけれど、きっと、同じ年代の誰よりも強く、大人びた魔法使いであることは間違いない。
絶対に見捨てない、唯一無二の存在がそばにいてくれていることを改めて実感する。
ほかの人がどうとかは関係ない、今目の前にいる兄が大切なのだと思うと、悲しくもないのに涙が出てきそうだった。
「ありがとう、お兄ちゃん。」