専務が私を追ってくる!
ミキとミカのためにも、預かってくれている病院のためにも、残業はできるだけしたくない。
できるだけ効率よく、だけど正確に。
前の会社の秘書生活で培った諸々の中でも、正確さへの執着だけは、今の仕事に活きていると思う。
この日の午後、私の業務が本日最高に忙しい時のこと。
何やら廊下が騒がしいなと思っていたら、ノックもなく専務室の扉が開いた。
私は驚いて、条件反射で立ち上がる。
扉を開けたのは、美しい中年女性だった。
ややグラマラスで、上品な柄物のワンピースを召しており、少し派手なメイクと爽やかなショートヘアが特徴的。
ブランドものの大きなバッグを抱えている。
なんか……うちのお母さんに似てる。
「あら、修はいないのね」
部屋を見るなり偉そうにそう告げた彼女に、少なからず恐怖心が芽生えた。
何なの、この人。
「どちら様でしょうか」
と私が言い終わる前に、彼女に続いて社長がやってきた。