専務が私を追ってくる!

「久美子(くみこ)!」

「うるさいわね。あなたが悪いんでしょう?」

「だからって会社に乗り込むことはないだろう」

「そうでもしないと、話すらさせてくれないじゃない」

え? 誰?

私は立ち上がったまま呆然とした。

何が何だかわからない。

しかも女性の方はあからさまに怒っている。

なだめた方が良いのか、それとも社長にお任せした方が良いのか、判断がつかずにオロオロしてしまう。

そんな私の様子に気付いた社長が、申し訳なさそうな笑顔を向けてきた。

「驚かせてごめんね。僕の妻、修の母親だよ」

ああ、なるほど、修のお母さんか。

「どうも、秘書さん」

笑顔が歪んでいて、なんだかすごく威圧的なんだけれど。

「奥様でしたか。初めまして。修さんの秘書を務めさせていただいております、郡山と申します」

机の前に出て、きっちりとお辞儀をする。

顔を上げても、奥様は私に本当の笑顔を向けてくださらなかった。

……怖い。

「存じてるわ。佳子ちゃんのお嬢さんなんですって?」

「母をご存知なんですか?」

「ええ、私たち高校の同級生ですもの」

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