専務が私を追ってくる!
「久美子。結婚相手は自分で見つけたいって、修が言ってたじゃないか」
社長は修の味方のようだ。
しかし奥様は怯まない。
「そんなの待ってたらいつになるかわからないじゃないの。あの子、もう30なのよ? なのに彼女もいないって言うじゃない」
すみません。
それについては私にも若干の責任があります。
なんて、この奥様には口が裂けても言えないな。
私と修の関係を知られたら、私きっと殺される。
「東京から出てきたばかりなんだ。無理もないだろう」
「だから私が紹介するんじゃないの。知らない女と結婚できるかって避けてたから、わざわざ修が知ってるお嬢さんを見つけてきたのよ。大変だったわ」
すごく気の強いお母さまだこと。
社長もたじたじだ。
修が実家から逃げたくなった感覚が、なんとなくわかった。
「じゃ、“確実に”お願いね、郡山さん」
「かしこまりました。“確実に”手渡しておきます」
奥様は再び歪んだ笑顔を向けて、専務室を去っていった。
「美穂ちゃん、本当にごめんね」
「いえ……」
社長は本当に申し訳なさそうな顔をして奥様を追っていった。
わが社の最高責任者は、完全に奥様の尻に敷かれているようだ。