専務が私を追ってくる!
修はそう言って、私を残したまま一人で浴室を出て行った。
やっぱり、正体を明かしたのは間違いだったかもしれない。
修にとって今の私が「ただの部下」から「女」へと変わってしまったからこんなことになったのだ。
あの時、あのモヤモヤを自分の中だけで処理できていたら……。
今さら反省したってもう遅い。
ヘナヘナと濡れた壁を伝って腰を下ろす。
いろんな所から湯が染みてくる。
自分の息が荒くなっていることに気付いてハッとした。
私も彼に欲情してる……。
ギュッと自分の体を抱きしめると、修と同じボディーソープのにおいがした。
心がもう限界だと悲鳴を上げる。
愛しさがこみ上げてきて泣きそうだ。
胸の奥にある重い何かが激しく私を揺さぶっている。
「恋愛禁止。恋愛禁止。恋愛禁止……」
何度も呟き、自分に言い聞かせる。
慌てるな、惑わされるな、騙されるな。
修は私に欲の存在を示しただけだ。
冷静になれ、私がここで暮らす目的を忘れるな。