専務が私を追ってくる!

「ああ、これか。母さんが持ってきたのは」

中身は昨日伝えておいた。

見合い写真と釣書である。

「はい。お相手は専務のお知り合いだそうですよ」

「知り合い?」

興味を持ったのか、箸を握る前に封筒の中身を取り出す。

ゴージャスな表紙を開くと、修は眉間にシワを寄せてもう一度深くため息をついた。

「チッ、そう来たか……」

そしてパタンと閉じる。

「どなただったんですか?」

「高校の同級生」

ああ、やっぱり同級生。

予想的中。

「ていうか、元カノ」

「えっ……」

マジで?

修は写真をテーブルに放り釣書を見ることもなく、律儀に「いただきまーす」と言ってから朝食を食べ始めた。

元カノか……すごいな、奥様。

ますます写真を見たくなる。

私は全然興味がないふりをして、弁当箱におかずを詰めることに集中した。

背後で汁をすする音、そして「うまっ」という声が聞こえて、思わず表情が緩む。

修はいつも私が出したものを美味しそうに食べてくれる。

今日の味噌汁はインスタントだけど、それでも嬉しかった。

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