専務が私を追ってくる!
「なんでよ!」
「美穂のお母さんだろ。俺、挨拶したいもん。美穂は俺の両親と面識があるのに、ズルい」
「面識って、彼女としてじゃないから! 部下としてだから!」
それでも奥様には良い顔されなかったのに。
「理由を話して、親父と母さんには内緒にしてもらえばいいじゃん。会いたい」
修がそんなふうに言ってくれるのは嬉しい。
母ならきっと修を気に入るだろう。
理由を話せば、母だって雨宮夫妻に黙っていてくれるとも思う。
だけど、私が母と修の接触を避けたい本当の理由は、別のところにある。
私の母、郡山(旧姓:本田)佳子は、プライドと損得勘定の意識が高く、とても体裁を気にする人だ。
恥をかくことを何よりも嫌っている。
私の見栄っ張りな性格は、母譲りだろう。
彼女は何事も『最低平均以上』をモットーにしていて、特に私や姉の教育においては、「自慢できる娘」になるよう強要されてきたように思う。
口癖は「順番を守りなさい」だ。