専務が私を追ってくる!
金曜日、午前中。
エレベーターから出ると、ちょうど社長が歩いてやってきた。
ニコニコ笑って、なんだか楽しそうだ。
「社長。おはようございます」
「おはよう美穂ちゃん。あ、そうそう。明日の同窓会、佳子ちゃんも来るんだよね?」
目をキラキラさせている。
よっぽど同窓会を楽しみにしているらしい。
「ええ、参加しますよ。今日の夜に到着する飛行機で、こちらに来る予定です」
「そうかそうか。佳子ちゃんに会うのは卒業以来だから、なんだか緊張しちゃうよ」
自分の会社の最高権力者にこういっちゃなんだが、今日の社長はデレデレしすぎていて締まりがない。
私と話すときはいつもニコニコしている社長も、仕事をしている時は社長らしい威厳のある顔つきになるのだが、これで今日の会議は大丈夫なのだろうか。
大事な議題だったと思うんだけど。
「そんなに期待されないでください。普通のおばさんです。奥様の方がお綺麗ですよ」
うちの母は一般家庭の主婦だが、奥様はこの地域を代表するセレブだ。
メンテが行き届いている。
「ははは、そうかな。この間は妻が押し掛けてしまってすまなかったね」
「とんでもないことです。お会いできて嬉しかったですよ」
少しだけ、怖かったですけど。