専務が私を追ってくる!

専務室に到着すると、扉のパネルが「在室」になっていた。

磨りガラス越しに、室内に人がいるのがわかる。

取引先へ直行していた修が来ているようだ。

本当は一度出社してから取引先に向かう予定だったのだが、朝から私の家へ持ち込んでいた荷物を車へ積んだり、猫たちを動物病院へ送ったりしているうちに、時間がなくなってしまったのである。

「ただいま戻りました」

「おかえりー。どうしたの、暗い顔して」

今日も山田さんに冷たくされて、ちょっとヘコんでいるだけですよ。

「いえ、別に。それよりどうでした? 旅行商品のチラシは」

「うん、いい出来だったよ。あとはもう観光事業課に任せる」

「わかりました。報告が上がってきたら転送します」

デスクに着き、新たなメールをチェックする。

私が席を離れていたのはたったの20分程度だったのに、新しく15件も受信していた。

各部署からの報告・連絡・相談。

取引先からの挨拶・提案・返答。

社長から園枝さんを伝って回ってくる仕事。

これらのメールをチェックするのは私の仕事だ。

そういえば、副社長のアドレスからメールが来ることってほとんどないな。

先月、夜行バスの新型シート導入の件が完了して以来、毎日の日報だけだ。

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