専務が私を追ってくる!
修の社内イメージを守るため、私たちの関係は社長にすら秘密にしている。
心配した奥様が引き続き見合いを勧めてくるのは、想定内ではあった。
だけど……まさか相手本人が会社に乗り込んでくるなんて、思ってもみなかった。
仕事の邪魔になることを承知で彼女をここへ連れてきた奥様は、是が非でも、この縁談をまとめたいのではないだろうか。
彼女は心がツンツンにささくれ立っている私に優しい笑みを浮かべてこの部屋を出て行った。
その笑顔は私の心を余計に荒れさせた。
もし修が出る前に彼女がこの部屋を訪れていたら……。
見るからに品のいいあの人と、制服を地味に着こなすメガネの私。
N市でも発言力を持つ会社のお嬢様と、東京から逃げてこの会社に拾ってもらっただけの私。
並べて見た時、どちらが輝いて見えるかなんて、想像しなくたってわかる。
私の奥歯がギリッと鳴った。
落ち着け、落ち着け。
歯を食いしばるな。
張り合っちゃダメだ。
相手を負かそうとしちゃダメだ。
心の奥に封印した嫌な私が相手を潰せと暴れている。
鎮まれ、私。
攻撃しようとすればするほど、私は醜くなる。