専務が私を追ってくる!

しかし、時に気分をどん底まで落とす劇薬にもなる。

「あ、ここ。シミになってる」

「えっ? シミ?」

「ここだよ。左右にふたつ」

修が指で触れたのは、メガネの鼻パットが当たる部分だった。

今年に入ってからほとんどの時間をメガネで過ごしてきた。

鼻パットの部分が、摩擦でシミになってきたということ?

「うそ……!」

慌てて洗面台に駆け込む。

よーく見てみると、確かにうっすらシミのように見える。

どんなに見た目を地味にしても、スキンケアだけは怠らないようにしていたのに。

いつか出会う時が来るとは思っていたけれど、まさかメガネでなんて……。

シミなんてひとつも見えなかった長部さんの、キレイな笑顔が頭に浮かんだ。

キレイに着飾ったはずの自分が、彼女よりずっとブスに見える。

どうしてだろう。

私、もっとキレイだったはずなのに。

落ち着いていた心が、再びざわざわ騒ぎだす。

< 180 / 250 >

この作品をシェア

pagetop