専務が私を追ってくる!
私は濡れた顔のまま、しばらくその場にうずくまった。
「にゃーん」
心配してくれているのか、ただ構ってほしいだけなのか、ミカが体をすり寄せる。
愛らしいその姿を見て、ほんの少しだけ心が和む。
しっかりしなくちゃ。
己の自信を奪うことでこんなにも荒れてしまうのなら、キレイなままでいればよかった。
ものすごく嫌な女だったけれど、自分の恋愛にここまで不安になることはなかったと思う。
メイクをしたり着飾ったりすることを「武装する」と表現することがあるけれど、その通りだ。
地味な私は無防備で、簡単に傷ついている。
「にゃー」
「ありがと、ミカ」
後悔するのはやめよう。
私がここに来なかったら、ミキやミカとも出会えなかった。
顔を拭き、化粧水と乳液をつけて洗面所を出る。
修の部屋から話し声が聞こえてきた。
「だから、その話は断っただろ。……いや、そうかもしれないけど、俺はもう……はぁ? 勝手に決めんなよ。……いやそれは悪いと思ってるけどさ」
奥様と話しているらしい。