専務が私を追ってくる!

修は心が優しい。

さらに察しがいいから、空気を読んで発言するのが上手だ。

私が疲れているときには甘えさせてくれるし、私に余裕があるときにしか甘えてこない。

少しだらしない部分はあるけれど、素直だし、単純だし、きっと私を愛してくれている。

だけど、彼にはひとつ、大きな欠点がある。

私を安心させるのが、ものすごく下手なのだ。

そのくせに、私に安心を求めるのが上手くて、ズルい。

「わかった。仕方ないよね」

私がそう言うと、ものすごく安心したように笑う。

その大きな手で私の頭を撫でて、筋肉質な腕で抱きしめ、柔らかい唇でキスをして、

「見合いはしても、縁談はちゃんと断ってくるからね」

と囁いてくれさえすれば、私はその体にしがみついて「うん」と微笑むことができるのに。

不本意でも見合いを承諾してしまった罪悪感からか、それとも見合いの席で縁談を断れる自信がないからなのか。

修はまた私から目を逸らして、

「じゃあ、着替えてくるね」

と部屋に戻っていってしまった。

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