専務が私を追ってくる!
私と修のこと、いつから気付いていたのだろう。
どうやって知られてしまったのだろう。
奥様にバレているということは、社長も知っているだろう。
恐らく、副社長も。
どう対処するのがベストなのかわからない。
こんな時に限って修には助けを求められない。
長部さんと一緒にいることを隠していた彼の気持ちだって、ちゃんと信じられなくなった。
ああ、なるほど。
そんなふうに私を追い込むことこそ、奥様の作戦だったのか。
だから“今日、この時間”にここへ来た。
なかなかの策士。
さすがは社長婦人というところか。
私は抵抗の意も兼ねて、黙る。
しっかり彼女の目を見つめて。
そんな私を奥様は笑った。
「なるほど、沈黙はいい選択だわ。あなた、案外賢くて気が強いのね。度胸も据わってる」
礼を告げるべきか、失礼だと表情に出すべきか。
判断に迷うが、私は無表情を貫いた。
わずかばかり、睨みは効いていたかもしれない。
「誤解しないで。私は別に、あなたに意地悪をしたいわけじゃないの。修の幸せを願っているだけなのよ」
「私は彼を不幸にするとおっしゃるのですか」
私としたことが、少しムキになってしまった。
奥様は曖昧な笑みを浮かべている。