専務が私を追ってくる!

聞きたかった言葉が聞けて、心が潤いを得たように落ち着きを取り戻していく。

余裕をなくすと攻撃的になる嫌な私は、大人しく心の奥へと帰っていった。

「ほんと?」

次の瞬間、修が声を上げて笑いながら私の頭を乱暴に撫で、髪をくしゃくしゃに乱し始めた。

「あっはっはっは!」

もう本当にくしゃくしゃで、振り乱される髪が頬に当たってチクチク痛い。

「ちょっ……なに?」

「いやー、なんか嬉しくて」

「はあ?」

あんなにキツくて意地悪なこと言ったのに。

本当はそういうのが好きなのだろうか。

「美穂ってあんまり甘えてこないし、会社で美穂って呼ぶだけで怒るから、俺ばっかり美穂のこと好きなのかなーって思ってたんだけどさ。そうじゃなかったんだなーって、実感した」

「なっ……」

なにそれ。

不安にさせていたのは、私も同じだったってこと?

「嫉妬して、怒って、暴れて泣きわめいて……。美穂、俺のことすげー好きなんだな」

そうだよ、好きだよ大好きだよ。

でも、悔しいから言ってやらない。

代わりに髪を整えながらじろりと睨みつける。

< 216 / 250 >

この作品をシェア

pagetop