専務が私を追ってくる!

長部さんは相変わらずの美しいお顔とふわふわで艶のあるボブヘアー。

今日は上質なバイカラーのワンピースを着こなしている。

「修と付き合ってるんですよね。知らなかったとはいえ、ごめんなさい」

「い、いえ。あれは奥様が必死になっていただけで……」

「必死だったのはうちの母も同じなの」

「長部さんのお母様も、ですか?」

彼女はバッグから携帯電話を取り出して、少し操作をする。

そしてパッと私に画面を向けた。

「実は私、バツイチで子供もいるんです」

見せてくれたディスプレイには、3歳くらいの男の子が写っている。

「ええっ!」

そんなこと、釣書には書いてなかったのに。

こんなにキレイな人が30歳にもなって独身だなんておかしいと思っていたけれど、そういうことだったのか。

「出戻って以来、母が再婚再婚ってうるさくて。修との見合いの話が来たときも、バツイチでコブ付きなんて断られるだろうって思ってたのに、母ったらそれを隠して無理矢理取り付けたんです」

詫びの感情を込めて笑う彼女。

長部さんのお母様にお目にかかったことはないけれど、きっと奥様と似たタイプなのだろう。

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