専務が私を追ってくる!
「私も再婚願望があるから、子供がいることを隠したまま奥様に取り入りました。ごめんなさい」
深々と頭を下げた彼女。
そこまでされたら責める気など起きるわけがない。
「頭を上げてください。話はなくなったんですから、私に謝らなくて結構です」
彼女はゆっくり頭を上げて、息をついた。
「ありがとうございます。心が楽になりました」
もしこれで本当に修と彼女が結婚という事態になっていたら、私は心の底から恨んだと思う。
だけど、修が私を選んでくれたから、もういい。
何もなかったのだから、もういいのだ。
「彼に再会した時に、ハッキリ言われました。好きな人がいるから、私との結婚は考えられないって。彼にはその時に子供がいることを白状しました。だけどこの間の会食の時、彼の方が私の両親に頭を下げてくれたんです。子供のことを知っているのに、私たちがその場で恥をかかないよう、一切口に出さなかったの。カッコイイでしょう?」
その時の彼の様子を想像すると、胸がツンと熱くなった。
元カノとのエピソードにときめくなんておかしいかもしれないけれど、ますます彼を好きになった。
「はい。私、あの人と出会えてよかったって、思いました」