専務が私を追ってくる!
「郡山さん」
「はい」
「無責任なこと言うようだけど、私と結婚なんかしなくても、修なら大丈夫」
「事情、ご存知だったんですね」
雨宮家は長部家の権力を利用しようとしていた。
もちろんそうとは言わずに縁組みを仕掛けていたわけだから、両家はお互い様ということになるのだろうか。
「それじゃあ私、これで失礼します。これから雨宮の奥様にも謝りに行くつもりなの」
あの奥様に……怖いだろうな。
破談になったことで今日の総会を案じているだろうし、ピリピリしているはずだ。
覚悟を決めている彼女の勇ましい姿は、これから戦う私に勇気を分けてくれる。
「わざわざありがとうございました。総会のことで緊張していたんですけど、元気出ました」
「そう。良かった」
長部さんは柔らかく微笑んで専務室を去って行った。
奥様はやっぱり怖いけれど、落ち着いたら修と一緒に挨拶にうかがってみよう。
別れてほしいと言われたのはショックだった。
でも、彼女が修の母親である限り、彼女との関係をこのままにしていたくはない。
専務という立場がどうなっていようと、私は彼と共に生きていきたい。