専務が私を追ってくる!

「郡山さん」

「はい」

「無責任なこと言うようだけど、私と結婚なんかしなくても、修なら大丈夫」

「事情、ご存知だったんですね」

雨宮家は長部家の権力を利用しようとしていた。

もちろんそうとは言わずに縁組みを仕掛けていたわけだから、両家はお互い様ということになるのだろうか。

「それじゃあ私、これで失礼します。これから雨宮の奥様にも謝りに行くつもりなの」

あの奥様に……怖いだろうな。

破談になったことで今日の総会を案じているだろうし、ピリピリしているはずだ。

覚悟を決めている彼女の勇ましい姿は、これから戦う私に勇気を分けてくれる。

「わざわざありがとうございました。総会のことで緊張していたんですけど、元気出ました」

「そう。良かった」

長部さんは柔らかく微笑んで専務室を去って行った。

奥様はやっぱり怖いけれど、落ち着いたら修と一緒に挨拶にうかがってみよう。

別れてほしいと言われたのはショックだった。

でも、彼女が修の母親である限り、彼女との関係をこのままにしていたくはない。

専務という立場がどうなっていようと、私は彼と共に生きていきたい。

< 234 / 250 >

この作品をシェア

pagetop