専務が私を追ってくる!
「議長。皆様のこれほどの不安を、我々としても無視するわけにはいかないのでは?」
北野副社長だ。
議長である社長はデスクの上で両手を組んで厳しい顔をした。
「そうですね」
「皆さん、社長がおっしゃる通り、新専務は確かによくやっています。しかしまあ、若いこともあって、従業員の心を掴み、専務たるべきリーダーシップを発揮できていない。それも確かです」
上手い。
自身の好感度を下げることなく、巧みに修のイメージをダウンさせている。
「ですから今一度、株主の皆様に判断を仰ぎましょう。定款により弊社専務取締役の任期は5年。当然彼の任期満了はまだまだ先ですが、この総会で解任の決議を取ることも……」
「お待ちください!」
叫んでから、しまったと思った。
株主にも役員にも秘書を始めとする運営スタッフにも、私以外の女性はいない。
そんな中で私の声は、異常なほどに響いた。
当然全員の視線が私に突き刺さる。
空気がしんと鎮まって、気温が一気に5度くらい下がったような錯覚がした。