専務が私を追ってくる!
「あのさ、美穂」
「何ですか、専務」
「俺、専務続けることになった」
「そうですね。おめでとうございます」
大きな目から放たれる強い眼差し。
艶のある柔らかい唇をキュッと結んだ真剣な顔。
彼の表情に釣られて、わたしの背筋もスッと伸びる。
「今後、俺はもっと忙しくなって、目の前にある仕事とか自分の夢しか見えなくなって、寂しい思いをさせたり心配かけたりたくさんすると思う」
「はい」
「前ばっかり見て周りが見えなくなったり、つまずいて今回以上のピンチに陥ったり、でも今回みたいには乗り越えられなかったりして、地の底を這うくらいに落ち込んでしまうこともあると思う」
「はい」
「だから、いつでも隣には美穂にいてほしい。さっき、株主の前に立ちはだかってる美穂を見たとき、俺には美穂しかいないって思った」
「修くん……」
「俺は甘えてばかりだけど、隣にいてくれたら手が届く。守ることくらいはできる。だから、これからも……公私共に、よろしくお願いします」
スッと頭が下げられて、ふわっと彼のにおいがした。
そのにおいに私の胸は痛いくらいにギュッと締め付けられて、思わず彼に飛びついた。