専務が私を追ってくる!

私はゆっくりと起き上がり、猫と共に出迎えるために玄関へ移動した。

「おかえり、二人とも」

「ただいま、美穂」

「ママただいまー! 赤ちゃん動いた?」

3歳になった息子の譲(ゆずる)は、私の大きなお腹を撫で回す。

「さっき動いたよ。お兄ちゃんに早く会いたいって」

「ほんとー?」

「ほんとほんと。だから帰ってきたら何するんだっけ?」

「てあらいー!」

嬉しそうに洗面所へ走っていく譲。

「こら! 廊下は走るなって言ってるでしょー!」

転んでしまわないか心配で、ついつい声を荒げてしまう。

「まあまあ。怒ると胎教に良くないよ」

修も優しくお腹を撫でる。

「だって。そういえばどうだった? ウォークタウンは」

「人が多くて疲れたよ」

ウォークタウンとはN市商店街の新名称で、修が地域開発の一環として行った再活性化プランのうちの一つだ。

若年層の集客と地域雇用の確保を目的として、2年前に商店街を丸ごとリニューアルした。

周辺の住宅地開発と新しい路線バスの設置が需要に間に合っていないとかで、修は今でも忙しそうに駆け回っている。

「おさむ帳」は、すでに30冊目に突入している。

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