専務が私を追ってくる!
東京へと降り立ったのは、この日の夕方6時過ぎ。
快晴だったN市と違い、東京は今にも雨が降りそうな曇り空だった。
着陸の前に飛行機が揺れたため、ちょっと酔っている。
空港から京急に乗って、大江戸線に乗り換えて、六本木で下車。
この時点で時刻は7時を経過している。
もう今日のうちにN市へ帰る手段はなくなった。
小雨が降り始めた中、お気に入りのパンプスで六本木通りを歩くこと、約10分。
目的地は西麻布郵便局を過ぎてすぐのところにある。
私は一度郵便局の前で立ち止まって、何回か深呼吸をした。
ゆっくり歩いてきたのに、胸にかかった巻き髪が震えるほど胸が高鳴っている。
心臓は静まらない。
私はまた少し歩みを進めて、店の前で足を止めた。
バーはガラス張りになっているから、外からでも店内の様子が見える。
無意識に息を止めて、中を窺った。
カウンター席の右端に見覚えのある男の背中を発見。
今日はオフであるため、スーツではなく私服だ。
オフホワイトのトップスが暖色のライトに照らされてオレンジ色に染まっている。
上半身の後ろ姿しか見えていないが、私はそれが修であるとすぐにわかった。