専務が私を追ってくる!
直後、私の声に反応したかのようにグラスを置く音がした。
いよいよこの時がやって来たか。
私は覚悟を決めて、ゆっくりと視線を右へ移す。
二日ぶりに会う修は、数ヶ月ぶりに現れた私を見て、目を丸く見開いていた。
「あ……あのっ」
ミキもミカも偽名だとわかっている彼は、私をどう呼んでいいかわからず口をパクパクさせている。
そんな彼に、私はニコリと微笑んで、ハッキリした口調で告げた。
「お疲れ様です。専務」
「えっ……?」
彼の吃驚顔は一変、眉間にシワが深く刻まれ怪訝顔に。
修は何が起きたのか、まだよくわかっていないようだ。
私は愛嬌たっぷりの笑顔を仕事モードの顔に変え、会社で接するのと同じ話し方で白状する。
「今まで黙っていて申し訳ありません。あの夜、偽名を使ってあなたを騙したのは、この私です」
やっと現れた待ち人が自分の部下であると気付いた修は、何とも言えない複雑な顔で私を呼んだ。
「郡山さん……」