神様修行はじめます! 其の四
「あ・・・?」
あたし同様・・・ううん、あたし以上に信子長老も驚いている。
なぜここに子独楽ちゃんが現れたのか、理解できないんだろう。
自分の娘が、触手と争っている姿をあっけにとられて眺めている。
・・・子独楽ちゃん、あたしを助けに来てくれたの?
あたしが首輪を壊して、あなたを自由にしてあげたから?
その恩を返すために、こんな化け物と戦おうとしてくれてるの?
あぁ・・・子独楽ちゃん! あなたって子は!
子独楽ちゃんは、触手相手に一歩も怯まなかった。
長い胴で敵を思い切り締め付け、鋭いキバで容赦なく攻撃する。
果敢な攻めに、触手はみるみる弱っていった。
すると周りの触手たちが、加勢するためにスルスルと近寄ってきた。
・・・囲まれた! 危ない子独楽ちゃん!
「子・・・独楽・・・」
信子長老が、切れ切れに娘の名を呼びかける。
「だめ。危な・・・逃げ、なさ・・・」
子独楽ちゃんが声に反応し、振り向く。
そしてシャアァッと警戒音を出し、細長い舌を出して震わせた。
子独楽ちゃんには、人間の頃の記憶がほとんどない。
だから信子長老が、自分の母親であることも忘れちゃってるんだ。
子独楽ちゃんの目は、完全に信子長老のことを敵とみなしていた。
彼女の中の異形の血が、敵を操っている存在を嗅ぎつけたんだ。
―― シュッ・・・!
子独楽ちゃんの体がわずか一瞬で触手から離れ、鳥のように宙を飛んだ。
あっと思った、次の瞬間。
彼女は信子長老の体に胴を巻き付け、その全身を万力のように締め上げていた。