社内恋愛なんて
ポケットから指輪を取りだすと、涙が次から次へと溢れてきた。


小さな指輪が霞んで見える。


 あの頃はこんなことになるなんて思ってもみなかった。


宝物だった指輪。


守の名前が彫ってある。


指輪を両手で握りしめて唇に押し付けた。


一緒に選んだ指輪。


手を繋いで、買いに行ったね。


あの時の思い出が甦ってきて、また泣けてくる。


 大丈夫。


ここでは何も気にせず泣ける。


辛い気持ちも一緒に吐き出すように、大きめの声で嗚咽した。


鼻水も垂れてくる。


 プロポーズしてくれたあの言葉は何だったんだろう。


あの幸せだった日々は何だったんだろう。


一緒にいれば何をしていても楽しかった。


守の隣が、とても心地良かった。


 大好きだってもっと伝えれば良かったのかな。


どうして心変わりしちゃったのかな。


何もかもが信じられなくなっているけれど、全てが嘘だったとは思えないんだ。


きっと守も、私のこと好きだったと思う。


それだけは、疑いたくない。
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