社内恋愛なんて
はあ、と大きなため息をついて坂の下を見つめた。


柵があって、下は断崖絶壁になっている。


ちらほらと灯りが燈(とも)り始めたけれど、あの時のような夜景にはなっていない。


 投げようとする手が震える。


捨てたくない気持ちが、どこからともなく湧いてくる。


でももう、決めたから。


決別するんだ。過去の自分と。


守を好きだった気持ち。


人生の辛さを全く知らなかった弱い自分。


いつも誰かに頼っていた。


親に大切に育てられて、自立した途端に守に依存して。


私は、一人で歩いてこなかった。


いつも守に頼っていた。


 これからは一人で生きれるようになりたい。


強くなりたい。


いいや、強くなるんだ。


 大きく深呼吸をして、振りかぶった。
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