社内恋愛なんて
「そういえば湯浅さんって何歳なんですか?」


「29です。今年で30になります」


「えぇ!? 私と同い年じゃないですか!」


 瀬戸内さんは身体を仰け反って驚いた。


私の方も目を丸めて驚く。


「瀬戸内さんも今年で30なんですか!? 20代前半かと思ってました!」


 驚く私に、苦笑いしている。


「いや、それは言い過ぎでしょう。私の履歴書見なかったんですか?」


「派遣会社からは年齢は公表されないんです。全員20代とは聞いてましたけど」


「ああ、派遣会社によって違うんですね。

履歴書をそのまま見せているところもあったんで。

でも、湯浅さん若く見えるって言われませんか?

私てっきり年下だと思っていて、ちょいちょいタメ語使ってました」


 すみません、と頭を下げたので、私は手を振った。


「いえいえ、同い年なんで敬語はいいですよ。それにここは会社の中じゃないし」


 ちゃっかり自分も敬語をなくしてみる。


同い年と聞いて、とても親近感が湧いた。


「なんだか私たち、いい友達になれそうですね」


 瀬戸内さんはにっこりと笑って言った。


不思議と胸がドキドキして、妙に照れ臭くなる。


「そうですね」


 と私も笑顔で返した。
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