社内恋愛なんて
「…………」


 ええいっ! 


 私はノートパソコンの蓋を閉じて立ち上がった。


急いでエレベーターに向かう。


エレベーターの下降ボタンを押すけれど、どんどん下がっていくだけで上がってくる気配はない。


 これじゃ、間に合わない。


 私はまた唇を噛みしめて、そして再び走った。


階段を駆け下りる。


間にあいますように! 


部長、お願い、まだ帰らないで!


 手すりをつたいながら、階段を駆け下りる。


ヒールの甲高い音が、狭く静かな階段内に響きわたっている。


 息切れしながら三階まで降りると、二階の扉が開いた。


誰かが上にのぼってくる。


滑り落ちるように急いで下っていたので、少しペースを落とした。


「あっ……」


 下から上ってくる人物と目が合い、足が止まった。


「守……」

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