社内恋愛なんて
「私も付き合う前は心配してたんですけど、考えてみれば当たり前ですよね。

学生時代じゃあるまいし、嫉妬や妬みでイジメとか嫌がらせする人なんて、そうそういないですよね。

会社には仕事しに来ているんですし」


 また考えすぎて悪いことばかりを想像してしまったと、自分のネガティブ思想に呆れて苦笑いをしながら言った。


すると、瀬戸内さんは急に真面目な顔になった。


「そうそういないですけど、時々本当にいますよ。

理不尽な嫉妬や妬みでえげつないことする人間が」


「え……」


 背筋がゾクリと寒気がした。


固まった表情の私を見て、瀬戸内さんは慌ててニコリと笑った。


「結婚したい男ナンバー1の剛田部長と付き合ったのに、嫌がらせされないのは湯浅さんの人望ですよ。

私だって湯浅さんだから応援しようと思ったんですし」


「あ、ありがとうございます。

瀬戸内さんに言われたから勇気出そうって思えたんです。

痛いところもストレートに言われて、自分の悪いところもよく分かりました。

本当に感謝しています」


 頭を下げてお辞儀をすると、瀬戸内さんは困ったような顔をした。
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