社内恋愛なんて
「なあ、いつまで敬語なんだ?」


「え……」


「敬語で話されると部下って意識が強くなって手が出しにくい」


 少しすねたような口調が可愛い。


背中から抱きしめられ、真上から聞こえる甘い重低音に更に胸がドキドキする。


「じゃあ、今日から敬語はなしにします」


「そう言ってるそばから敬語」


「あ……」


「今日からじゃなくて、今から」


 抱きしめられた手に力が少しだけ入る。


優しく責められて体が熱くなる。


「わかっ……た……」


 敬語をなくして返事した言葉は、慣れなさ過ぎてか細く消えていく。


今から敬語なし。


上手く喋れるか自信がない。


「よくできました」


 ちゅっと後頭部にキスを落とされ、私は体を反転させて部長の顔を見上げた。


「もう、子供扱いして」


 確かに私は小さいけれど、もう女の子ではない。


恨めしそうに見上げる私に、部長は色気を帯びた瞳で見つめ返す。


「子供扱いなんてしてないさ。じゃなきゃこんなことしない」
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