社内恋愛なんて
あのまま黙って引き下がるような女じゃないとは思ってたけど、こんな卑怯なやり方って。


匿名をいいことに、やりたい放題、好き勝手に悪口を投稿して……。


これがどれだけの人の目について、どれほど悪影響を与えるか分かっているのだろうか。


 ぶつけようのない怒りに、息が苦しくなる。


どうしたらいいんだろう。


美奈子に直接言ったって、美奈子だっていう確証はどこにもない。


 泣き寝入りしかできないこの理不尽な現実に憤りを覚える。


何されても立ち向かっていけると思っていたけど、こんな歪曲的なやり方で、誠一郎さんを標的にするなんて。


絶対許せない!


「部長! ちょっといいですか」


 立ち上がって誠一郎さんを呼んだ。


怒りが収まらず、語気が強くなって迫力の増した私に、誠一郎さんは少し驚いた様子だった。


あまり人に知られたくない話だったので、個室の会議室へと場所を移動する。
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