社内恋愛なんて
「剛田部長がいなかったらどうなってたか……。

でも、どうしてあんなに装置に詳しいんですか?」


「20代の頃は、毎日寝る間を惜しんで装置について勉強していたからな。

おかげで俺の知識は技術者よりも詳しいって評判なんだ」


 誠一郎さんは笑顔でさらっと凄いことを言った。


守も驚いた顔をして固まっている。


普段から勉強熱心だとは思っていたけど、そこまでだったなんて……。


「すみませんでした!」


 また深々とお辞儀をして大声で謝ってきた守に、誠一郎さんはきょとんとしていた。


お礼は分かるけど、どうして謝るのか私も不思議だった。


「俺……若くして人事部長になったのはどうせ運が良かっただけだろって思ってて、この前失礼なこと言ってしまいました。

俺はPM営業部で、まだまだ下っ端で、頑張っても評価されないし、年功序列だから出世なんてまだまだ先の話だし、なんていうか、最近しょげてて……。

でも、俺の頑張りなんて頑張ってるうちに入らないんだなって感じました。

隣で剛田部長のトーク聞かせてもらって、すごく勉強になったし、まじでかっこよかったです」


 守はまるで子供が戦隊ヒーローに会った時のようなキラキラした目で誠一郎さんを見つめていた。
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