いと。

「…………………。」

何を言いたいのか、一瞬では理解しがたかった。

言い捨てるようにカツカツとヒールを鳴らして去って行ったあの女性は確かに強い目をしていた。

あれは…………戦う女の目だ。

混乱する頭の中を必死に整理する。


あの子の名前………どくん。


心臓が、答えを出すなと言ってるみたいに跳ねる。


飲食店をしている父親………どくん。


それにあの子の笑顔……………どくん。


導かれる答えはひとつしかない。

「…か、お、る…………?」

…………………どくん。

ひときわ大きく鼓動を打った瞬間、その答えは心のどこかに、ストンと収まった。



あの子は、薫の子供だ。



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