いと。
「ほんとに大丈夫?」
「はい。おかげさまで調子もいいですし、彼の仕事の邪魔できませんから。
連絡は私からしておきます。じゃ。」
無理やり笑顔を作って病院を出る。
あたりはもう薄暗くなっていて、少し欠けた月が空に顔を出していた。
荷物はないけれどそんなの何とでもなる。
とにかく、もう一切関わりたくない。
あの人はやっぱり父と同じ種類の人間だ。思うように事を進める為なら、相手の心なんて構わないんだ。
話は通じない。下手をすれば無理やり手を下される。
………そういう汚い人間なんだ。
………そんなの、絶対にいやだ。
雨の上がったばかりの重く湿った空気の中、私は歩き始めた。