いと。

「あらあら奥様、大丈夫ですか?」

それは50代くらいだろうか、ふくよかな優しそうな女性だった。

彼女は私がソファで動けずにいたのに気づくとパタパタとスリッパの音をさせて駆け寄ってきた。

「あ…大丈夫…です。あの………。」

訝しげな私に彼女はにっこりと明るく微笑んで一礼した。

「曜さまの家政婦…といったところですかね。やることはそんなにないんですけど、ふふ。花井節子です。

どうぞよろしくお願いいたしますね、奥様。」

「………あ、は…い。」

家政婦さんがいたなんて。でも、超がつく有名ホテル経営の家庭で独身で一人暮らしとくれば当然かもしれない。

あのエラそうな人が家事をしてる姿なんて想像つかないし。


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