いと。
「なに?」
振り向き、俺に向けられた視線は軽蔑しているようにも思えた。
同時に………怒りのようなものも感じた。
「今また彼女の目の前に現れてどうする?
どんな覚悟を持ってあんたから離れたのか、数年一緒にいて彼女の全てを理解してるあんたならわからないわけじゃないよな。
子供に全幅の愛情を注いでほしいからそうしたんだろ?
ちゃんと愛して、自分のように親の愛情をまともに受けられない子供にしてほしくないと願ったんだろ?
そうすることが、あんたにとっても幸せなんだと自分に言い聞かせて!
そのためにあんなに苦しい想いをして、あんなに泣いて、ボロボロになって…!
それをまた振り出しにするのかよ!
解放してやれよ!
あんたがあいつを選んだら、また苦しむことになるだろうが!」
「………っ!」
「…………今はまだあんたを想って苦しんでいるけれど…あの父親からも、それに伴うしがらみからも、オレが解放してやる。
オレならしてやれる。
わかったらもう……愛のことは忘れて自分の家族を見ろ。」
ギロリとオレを睨みつけた戸澤は、もう振り返ることなく、店を出て行った。