いと。
「ありがとうございます。」
職場へと向かう桐子さんに先に寮で降ろしてもらいお礼を言う。
「いいのよ。ゆっくり休んでね。」
非番だった今日は用事があって街へ出ていた。
帰りに湖が見たくなり、立ち寄っていたのだ。
桐子さんは優しい。
女将という立場柄もあるだろうけど困っている人は絶対放っておかないし、親身になって叱ったりもしてくれる。
出会えたのは私にとって奇跡だった。
出会っていなかったらきっと……私はもう、湖の底でお姫様と一緒にいた。
窓の外には、雪がちらついている。