いと。

「くそー!どこ行った!」

愛が逃げた先は細い路地で、しんしんと降る雪が彼女の足跡を消してしまっていた。

俺の手に握られたのは彼女が落としていった一冊の小さな手帳。

これが本当なら、尚更一人にするわけにはいかない。


『ごめんね』


苦しげに言い残した言葉が胸を深く刺す。

「…どこに行った?」

せっかくここまで来たのに、また見失ってしまえば振り出しになってしまう。

「……どこだ?…とにかく旅館か!」

また姿を消すつもりでも女将の所には立ち寄るかもしれない。そう思い、旅館へと走った。


< 510 / 561 >

この作品をシェア

pagetop