いと。

あり合わせのもので作った食事を、曜はそれでも『愛は本当に料理上手だから何でも美味しい』と言って食べてくれた。

食器の片付けも手伝ってくれて、キッチンで並んでいると曜のマンションで一緒にいた頃のようで嬉しかった。

「あ、そういえばどうして私がここにいるってわかったの?」


こんな遠くの……山に囲まれた土地。しかも名前だってちゃんと名乗ってはいない。


それなのに………。

「それは……眞城社長だよ。」

小さなテーブルに食後に出したコーヒーをひとくち飲み、チラリと私に視線を向けた曜はそう言った。

私に座布団を譲ってそのままぺたりと胡座をかく彼の姿は新鮮だ。

「…………父が?」

「そう。愛が本当に自分の娘だと知ってから…社長も引退してずっと探してたんだ。」

「………引退?ずっと仕事しかしてこなかった人が?…う、そ。」

「いや、本当だ。戻ったらちゃんと話をしてみるといい。

愛が帰ってくるのを…待ってるよ。」


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