シャッターの向こう側。
 そこに立っていたのは、仕事帰りのOL風の女性。

 綺麗な栗色の、可愛らしくゆる巻きの長い髪。

 派手過ぎない自然なお化粧。

 白のブラウスに、首元はアクセントで紺地に白の水玉模様のスカーフ。

 紺色のロングタイトのスカート。

 ほっそりとした足は黒いパンプス。


 睫毛、ながっ……!

 美人だよ、美人。

 そこらのグラビア・アイドルなんか目じゃないくらいの美人だよ!

 てか、アイドルと比べたら、もったいないくらいの気品ある美人だよ!

 そんな彼女がニッコリと微笑みかててくれたので、思わずへらっと笑い返した。

「あ、あの?」

「初めまして」

 は、初めまして。

「坂口ちゃんは久しぶりっ!!」

 坂口さんには軽く手を振り、

「隆平は、もっと奥に座って頂戴」

 宇津木さんに、厳しい口調で命令して席に座った。


「……………」


 もしかして、この人が……


「10分の遅刻だな」

「急に待ち合わせ場所を変えた人が、偉そうに言わないで頂戴よ」

「文句なら、坂口に言え」

「俺にお鉢を回すなよ」

 坂口さんが苦笑して私を見た。

「目が点になってるよ、神崎ちゃん」


 え。


 だって……


「綺麗な人ぉ」

「よせよせ、図に乗る」

 その呟きに、彼女さんは私に微笑みかけながら宇津木さんの頭を叩いた。

 宇津木さんを叩く人……


「冴子です、初めまして」

 改めて頭を下げられ、慌ててそれに倣う。

「は、初めまして。神崎です」

 自己紹介すると、冴子さんはますます微笑んで軽く手を打った。

「聞いたことある! 無頓着なフォトグラファーちゃんね!」


 ……は?


 それは、どんな意味ですか。
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