シャッターの向こう側。
 家にある写真を、分けてみようとしてたんだっけ……

 撮影用のバックを床に置き、スタスタとソファーに近づくと一枚の写真を取り上げる。

 白黒の写真。

 光と闇のコントラスト。

 もちろん、目に映るものしか写真に写される事はない。

 だけど、その中には必ず〝何か〟他のものも写し出される。

 この写真に写し出されたのは、満ち欠けの月と暗闇の雲。

 ソファーに座って写真を置き、アルバムを手にする。

 中にあったのは、高校生の時のスナップ写真。

 友達との修学旅行。

 学園祭の準備の時の放課後。

 そして、学園祭の当日……

 廊下で皆の写真を撮った中に、一人の男の子を見つけた。


「懐かしい」

 昔好きだった彼。

 告白も何もしなかったけど、それは彼の視線の先がいつも違う所を見ていることに気付いたから。

 ……いつも、彼は私の隣にいる女の子を見てたんだよね。

 確か、この写真で気付いたんだ。

 それからすぐ、付き合う事になった二人……

 あの時は大泣きしたなぁ。


 パラパラとアルバムをめくり、思わず苦笑した。

 ……なんて暗い写真ばっかりなんだろ。

 例えば、夕暮れの公園。

 まわりに誰もいないのに、砂場で一人お城を造る女の子。

 誰も乗っていないブランコ。

 早朝の大通り。

 これを撮った場所も、時間もすぐに思い出せる。


「確かに、気分が写真に出てるみたい」

 それから場所がイキナリ変わって、このマンションの近所が写し出されている。

 これはこっちに出て来て間もなくの事だな。

 それから専門学校の時代。

 就職活動のリクルートスーツの皆の姿。

 あはっ。

 なんて緊張感が漂っているんだ。


 次のページをめくろうとして、テーブルの上の茶封筒が落ちた。


 見覚えのある封筒は、高橋写真館のモノだった。
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