シャッターの向こう側。
「その一言がなければ……」

 素直に喜べたのにっ!!

「何が?」

「最後の一言が余計なんです」

「そうか?」

「そうですっ!!」

 考え込む様な宇津木さんに、溜め息をついた。

 今のは悪気無しですか。


「まぁ、いいですけど」

 構っていても仕方ないし。

 日が高いうちに写真は撮りたいし。


 しばらく歩きながら撮り続け、


「……あ」

 宇津木さんが間の抜けた声をあげた。

「どうかしましたか?」

「……ああ。一応」

 そう言いながら、空を見て太陽の位置を確認している。

 それからスマホを見て溜め息をついた。


 あの。

「道、忘れました?」

「考え事をしてた」

 スマホをしまって腕を組む。

「お前の携帯は通じる?」

 慌てて見てみるとそこには『圏外』の文字。

「……どうしましょう」

「とりあえず、日が高いうちに戻ってみようか」


 なんでそんなに冷静なのっ!?


 でも……


「宇津木さんっ!?」

「ああ?」

「そっちは行ってません!」

 雑草はワサワサだし、誰も通ってないのは一目瞭然でしょうが!

「あ、そうか」

「…………」


 もしかして……


「慌ててますか?」

「…………」

 おぉ。

 図星みたいだ。

「すまん」

「うぎゅ……っ!!」

「……なんだ、その悲鳴を飲み込んだような声」

 いや。

 飲み込んだんですが。

 だって、素直に宇津木さんが謝るなんてことするから。

「大丈夫ですよ~。まだ歩き始めて1時間くらいですし、来た道を戻れば遊歩道につけますって」

「だといいんだが」

 不吉な事を言わないでくれる?

「せっかくですから、地図を見てみましょう」

 ガサゴソと地図を開いて、二人で頭を突き合わせる。

「太陽が今こっちだな」

「はい。確か入口近くから来ましたから」

 ……なんて言い合いながら、なんとなく戻る方向を決めて行き……





 大失敗した。
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