シャッターの向こう側。
「お前、もしかしてグラフィックスの勉強もしてたのか?」

「はい。1年くらいは……」

 専門学校の一年目は、写真科でなくてCGや映像処理なんかの学科にいた。

 覚えておくに越したことはないかな~……なんて、思ってたけど。

「まず、それが余計だ」

「え~……?」

「お前は俺の所に持ってくる前、必ず画像をいじって来るだろうが」

「う……いや、まぁ。はい」

「確かにポリシーがあるのは悪い事じゃない。が……うちの会社はアートディレクター、フォトグラファー、グラフィックデザイナー、コピーライター……それぞれ役回りがある」

 ……存じております。

「なのに、お前はフォトグラファーとグラフィックデザイナーの役回りを同時にこなそうとする」

「いや……だって」

「自分のイメージを他人にいじられるのが好きじゃないって、その気持ちは解らないでもない」

 宇津木さんは嘆息して、それからジロッと私を見た。

「お前は、俺が信用出来ないか」

「……へっ?」

「お前の画像を処理するのは、ほぼパートナーを組んでいる俺。グラフィックスに不安があるから、そうするんだろう?」

 え……

 いや。

 確かに撮ったモノが、どうなってしまうか解らない不安がある。

 ……でも。

「ちなみに。グラフィックスについて言うと……時間がかかりすぎ」

「う……」

「俺がやった方が確実に早い」

 そりゃ、あまり手慣れてないかも知れないけど。

「だから任せろ」


 ……反論できない。


「それで、少しは余裕が出来るだろ」

 宇津木さんはそう言って、店内を見渡すと肩を竦めて腕組みをやめた。

「あとは、飯を食ってからだな」

「ん? え?」

「お待たせいたしましたぁ」

 にこやかな店員さんと、温かそうなパスタ。


 ……出来るの、早っ!?

「平日でも早くていいぞ」

「……合理的ですね」

「なんとでも言え」

 宇津木さんはすでにパスタを食べ始めていて、それに倣ってキノコの和風パスタに手をつける。

 あ。

 確かに美味しいや。
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