シャッターの向こう側。
 それにしても、飛行機の座席ってこんなに窮屈だったかな?

 ひじ掛けに手を置くと、隣の宇津木さんにぶつかる。

 宇津木さんは何やら雑誌を読んでいて、まるで気がついてないみたいだけど……


 なんて言うか……


 息の仕方を忘れそう。


 と言うか、鼻息荒そう☆


「…………っ」


 必死に落ち着かせるけど、心臓がバクバクするって言うか。

 暑いって言うか。

 何て言うか!


 このまま昇天するかも知れない☆


「……おい」

「ひゃい!」

「外は何も見えないぞ?」


 気がつけば窓に張り付いていた。


 間違いなく夜の空港は、滑走路のライトしか見えない。

「それに離陸時はシートベルト着用だ。したのか?」


 忘れてましたとも……っ!

 キッと振り返ると、宇津木さんは雑誌を見たままの体勢。

「よく気付きましたね」

「お前のやりそうなことだろう?」

「いつもいつもって訳じゃありません」

「半分くらいの確率か?」

「そうですね……そうかも……」


 って、違うだろ!

 思わずツッコミを入れたくなったけど、その前に宇津木さんが雑誌を閉じた。

「何を緊張してるんだ? 飛行機は初めてじゃないだろう?」

 少し怪訝な顔で振り向いて、首を傾げてくる。

 そりゃ~初めてって訳でもありません。


 だけど……変な感じなんですもん。


「隣でそわそわされてると落ち着かないから、お前は寝てろ」

「寝てろって言われたって眠くないですもん」

「じゃ、落ち着け」


 って、言われたって、そんなに動いてもいないと思うんだけど?


「さっきから指がワサワサしてて、かなり目につく」


 そう言われて指先を見て、目が点になった。


 何故か指体操をしていた。


「の……」

「の?」

「脳内活性には役に立つんですって!」

「今更かよ」

「どういう意味ですか!」

「……そのままの意味だが」

「失礼な……っ」

「申し訳ありませんお客様。機内は他のお客様もおりますので、お静かに願いますでしょうか?」

 急に現れた、にこやかスッチーにやんわり注意された。
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