シャッターの向こう側。
「そこんとこは相変わらずだな」

 スッチーが立ち去り、お決まりの救命器具の説明を聞き流しながら宇津木さんを睨む。

「すみませんね」

「否定はしないのか」

「宇津木さんこそ変わりませんね」

「……そうでもない」

「え~?」


 どこがだ!!

 言ってみてよ!

 解りやすく50文字以内で説明してみて下さいよ!


「……女とよく喋るようになった」

 腕を組み、とても偉そうに宇津木さんは呟く。

「はい?」

「人に気を使うようになった」

「どこが?」

 言ったら頬を捕まれた。

「いひゃいれふ」

「お前のせいだろうがっ!」

 何が私のせいで、どうして私は頬っぺたを抓られないといけないんだ!?

 理不尽じゃないかっ!

「ま、ともかく、昔よりは」

 そう言って、宇津木さんは手を離してくれた。


「ところでお前……」

「はい?」

「いい写真は撮れたか?」

 ……だからさっきから何だ突然。

「今回送ってもらった写真な」

「え。駄目でした? 却下ですか?」

「……お前学生の頃、人の話は最後まで聞きましょう、とか言われてなかったか?」

 言われてたかも☆

「悪くはなかった」

 ならいいじゃないか。

「ただし、妙に〝静か〟だった」

 はい?

「……遊び心も何もない写真だったな、珍しく」

 よく、解りませんが。

「何か暗いって言うか……」

 言われてドキッとした。


 そりゃ……

 いつも脳天気にヘラヘラしてる訳じゃないもの。


「お前の写真、お前の気分もダイレクトに見える時があるからな」

「いつでもどこでも、ウハウハとはならないのが人生ですから」

「いや。それは意味が解らんが」

 解ってくれとは言いません。


 てか……


 解ってもらったらとても困る。
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