シャッターの向こう側。
 だって、私の気分が晴れていないとすれば、それは着いてすぐに撮った写真だから。


 ……宇津木さんに〝弟みたい〟なんて言われたのがちょっと尾を引いて……


 だから、そんな気分に気付かれても困るっ!!

 悶々としていたら、宇津木さんは苦笑した。


「まぁ……最後の方は持ち直してたみたいだが」

「……そうですか?」

「そうだな。俺は好きだよ、お前の写真」

「そ、そうですか?」

「ああ……」

 そう言って、宇津木さんは目を瞑って背もたれに身を預ける。


「悪い、少し寝る」

「あ……はい」


 腕を組み、俯き加減の宇津木さん。


 それこそ珍しい。


 凝視していたら、目を瞑ったまま眉間にシワが刻まれた。


「飛行機降りたら」

「はい」

「飯を考えとけ」

「ひゃい?」

「何がいいか考えとけ」

「……はい」


 それっきり、宇津木さんは黙り込んだ。


 ご飯……ですか。

 別になんでもいいけど。


「…………」


 そう言えば、宇津木さんてご飯は食べたのかな?

 私はお昼はペンションで食べたし、15時過ぎにスキー場のロッジで軽く食べ……


 まて。


 宇津木さんの家から来たとしても、空港までは1時間はかかるよね。

 そこから北海道までだいたい1時間半くらいのフライトでしょ?

 それから14時にはペンションに着いていたんなら……

 バスに乗ったのは少なくとも12時過ぎ。

 まずはお昼は抜きでしょ?

 13時くらいまでなら、ペンションでランチメニューくらいやってただろうけど……

 宇津木さんがおばさんに何か頼むとは思わない。

 しかも、宇津木さんて朝はたいがい何も食べないでコーヒーだけ。

 それから考えても……

 もしかして、何も食べてないんじゃ……


「宇津木さ……」


 声をかけようとしたら、肩にコテン……と重みがかかってきた。


「………っ」


 ぅ……ぅぇえ!?

 それは健やかな寝息の宇津木さんが……



 こんな至近距離に……っ
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