シャッターの向こう側。
 ……上の階。

 結構、近くで音がしたぞ?

 布がはためくような……

 上の階も見てみるか……?


 一応……


 確認しておくに越した事はない。

 だいたい、幽霊話の多くは人間の勘違い。

 もしくは恐怖感からきた妄想だ。

 見えないからこそ恐怖が生まれる。

 暗闇はそれを助長するから……


 階段を上り、ペンライトで辺りを一周させる。


 この階には大きめな木箱があるだけで、そこには誰もいない。


 当たり前だ。

 いたらいたで、そっちの方が恐い。

 だいたい、誰が好き好んでこんな所にくるか。

 来るはずが……


 ふっと頬を何かが掠めて、慌ててペンライトをそちらに向ける。


「……シーツ?」


 まるで旗の様に、置いてある鉄骨にシーツが巻かれていた。

 それが外れかかり、風にはためいている。


 驚かせるなよ……


 と、息をついた瞬間。


 目の前がイキナリ光って、ペンライトを取り落とした。

 くるりと床を照らし出すペンライトの光。

 それから、目に焼き付けられた光の残像が迫ってきて、身を引きそうになる。


 声にならない悲鳴を上げ、後ろに下がったが、



「うきゅ……っ!」



 うきゅ?



 何かを踏み付けて、身体を止めた。



 今のは、人の声だ。


 声だが……


「…………」


 ふぅ……と、息をついて、落としたペンライトを拾いに行く。

 シーツの影を照らして、そこに置かれたモノを見た。


 あー……


 これは、どうしたものか。


「おい」


 声をかけると、返事の変わりにカサコソと何かが動く音。


「ふざけてないで、出てこい」


 ペンライトを向けた方向に、


「あらら……」


 と言う有野さんの嫁さんと、


「痛い~」


 と、涙目の雪がいた。
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